技能労働者の賃金水準実態調査 / 建設通信新聞

国土交通省は、建設現場で働く技能労働者の賃金水準動向を把握するため、きめ細かな実態調査に乗り出した。2013年度の公共工事設計労務単価を大幅にアップさせた効果が、現場最前線まで行き渡っているか確認するのが狙い。発注者、元請企業、下請企業、技能労働者という、それぞれの関係者間で交わされている取り引きや契約内容の変化などをとらえ、労務単価引き上げによって生み出された労賃アップの「原資」の流れを見る。実態調査は継続的に行うが、9月ごろをめどに1回目の結果を取りまとめる。労賃の上昇が認められない場合などは、業界団体への再要請といった必要な措置を講じる。
体系的に行う新たな実態調査では、工事入札の落札率の推移や労務費など各種調査の数値データに加え、個別ヒアリングによる「生の声」も集める。川上から川下までの各段階で多様な項目を立て、さまざまな角度から実態を分析。賃金原資がしっかり流れているか、どの段階で滞っているかなど全体像をつかむ。
発注段階では落札率や応札率の動向を注視。労務単価アップによって予定価格も上がっているため、落札率の水準が保たれていれば、元請企業に原資は渡っていると考えられる。国交省は直轄工事の状況監視を徹底するとともに、今後自治体レベルの把握にも努めていきたい意向だ。
元請・下請企業間では、建設物価に基づく施工単位当たりの市場取引価格調査を、東日本大震災の被災地だけでなく全国に広げ、3カ月に1回実施する。マクロ的な視点から、保証会社の建設業景況調査なども活用。全国10ブロックに開設した「新労務単価フォローアップ相談ダイヤル」や個別企業への聞き取り調査を通じ、企業経営面での取り組み状況などを把握する。
下請企業・技能労働者間においては、全国約1万8000社を対象とし、毎年7月に実施している下請取引等実態調査で、賃金水準と社会保険加入に関する項目を新たに追加。労賃を引き上げたか、上げない理由は何か、工事請負金額が増えたかなどを聞き取り、問題点を洗い出す。建設業許可更新時のアンケートも生かす。また、被災地で毎月行っている建設企業側による労賃実態調査を、3カ月に1回程度のペースで全国実施したい考えで、関係団体などに協力を呼び掛けていく。次年度の労務単価設定に使う公共事業労務費調査や、厚生労働省の賃金水準統計などの数値も実態把握に活用する。

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