中古戸建ての「購入+改修」でフラット改定 / 日経BP

中古住宅をリフォーム前提で購入する──。そうしたニーズに応える住宅融資の仕組みが、2012年度から導入される見込みだ。住宅金融支援機構のフラット35を購入費に、民間金融機関のリフォーム融資を改修費に当てる仕組みで、顧客が2種類の融資をワンストップで利用しやすくなる。

 下のスキーム図のように、中古住宅の購入から改修工事完了までに必要なつなぎ融資と、改修工事後のリフォーム融資に、住宅金融支援機構がそれぞれ「住宅融資保険」を付保する。住宅融資保険とは、同機構が民間金融機関の住宅関連の資金貸し付けに対して設定する保険だ。この保険を付けることで、民間金融機関はつなぎ融資やリフォーム融資を行いやすくなる。

中古住宅の購入から改修工事完了までに必要なつなぎ融資と、改修工事後のリフォーム融資に、住宅金融支援機構がそれぞれ「住宅融資保険」を付保する(図:国土交通省の資料を基に日経ホームビルダーが整理)
中古住宅の購入から改修工事完了までに必要なつなぎ融資と、改修工事後のリフォーム融資に、住宅金融支援機構がそれぞれ「住宅融資保険」を付保する(図:国土交通省の資料を基に日経ホームビルダーが整理)

 

 この仕組みは、国土交通省が12年度の予算原案に盛り込んだ内容がベースで、現在開催中の国会で、審議の俎上に上がっている。現時点の情報に基づくと、顧客のメリットは主に三つある。「融資申請の窓口一本化と共に、審査も1回で済む」「リフォーム後の状態に基づいてフラット35の適合証明が受けられる」「民間金融機関のリフォーム融資でもフラット35と同様の長期返済期間が適用される可能性を見込める」ことだ。

 具体的な流れは次のようになる。まずは顧客が購入を希望する中古住宅を決めたら、建物検査を実施。フラット35の技術基準に照らして不適合箇所の有無を確認する。不適合の箇所があれば、その是正を含めて改修工事の内容を決定。そのうえで、フラット35を扱う民間金融機関に、購入分とリフォーム分を合わせて借入申請する。融資の審査が通れば、まずは購入代金を支払う時に、民間金融機関が対象の中古住宅に担保を設定して顧客に対してつなぎ融資を実行。つなぎ融資には、住宅金融支援機構が住宅融資保険を付ける。

 購入後の改修工事ではリフォーム瑕疵保険の加入が義務付けられ、工事完了後に再び建物検査を行う。フラット35の適合証明書が発行されれば、フラット35の本融資実行。リフォーム代金の支払い時には、民間金融機関がリフォーム融資を実行する。このリフォーム融資にも融資保険が付保される。

 このように、改修工事後にフラット35の適合証明書を取得する前提の仕組みなので、購入時には不適合でもフラット35を利用できる。
 購入時に適合していた場合は、バリアフリー化や省エネ改修によってフラット35Sベーシックやフラット35Sエコの金利引き下げの適用を受けることもできる。フラット35からフラット35Sへの借り換えは認められていないので、購入とセットで計画すればリフォームの内容をよりグレードアップする可能性が開ける。

 この仕組みにおける民間金融機関のリフォーム融資の具体的な内容は、各金融機関が今後決める見通しだ。フラット35とのパッケージ商品として、返済期間は最長35年の長期に設定する可能性が高く、従来のリフォーム融資(最長10~15年程度)より長くなることが期待できる。ただし金利はフラット35とは別で、住宅金融支援機構は「変動金利が適用されることになるだろう」(フラット35推進室の廣岡隆さん)とみている。

 手続きの詳細は未定だ。例えば対象住宅の検査は、フラット35の適合証明書を発行している検査機関が行うことになる可能性が高いとみられている。しかしこの仕組みでは適合の可否に加えて不適合箇所のチェックも必要で、検査機関全てで対応できるどうかはまだ不明だ。

 そのほか、「融資の審査で建物の購入時の状態だけでなく改修工事の内容もチェックするのか」「購入時の検査と工事完了時の検査を同一機関が行うのか」「借入時から改修工事完了まで、一定の期限を設けるのか」といった点も、導入に向けた今後の検討課題となりそうだ。こうした課題が依然として残っているため、ベースとなる12年度予算が原案通りに国会を通過しても、現時点では具体的な導入時期はまだ見えていない。

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