ダンピング / e-建設経営通信 第159号

■ Q 

 建設業界では落札率がどんどん低下し、いわゆるダンピング受注もあとを絶ちません。独禁法では、ダンピング受注は「不当廉売」として禁止されているということを聞きましたが、なぜ現に行われているダンピング受注に適用されないのでしょうか。

■ A

 たしかに、独禁法には入札談合等の競争制限(カルテル)の禁止と並んで、不公正な取引方法の禁止も規定しており(独禁法19条)、不当廉売もその一つとして禁止されています。もし、ある事業者のダンピング受注が「不当廉売」に該当すると認定されれば、入札談合と同様の措置が取られますので、相当抑止効果が働きそうです。

 しかし、これまでのところ、長い独禁法の歴史の中で、直接的に不当廉売で法的措置を講じた事例は、昭和52年の中部読売新聞事件と、昭和57年のマルエツとハローマーク2社による牛乳不当廉売事件の2つしかありません。もっとも、不当廉売に関する警告は割合多く、建設業界でも、平成16年4月と9月に長野県内と栃木県内の建設業者に対して警告が行われています。

 このように不当廉売がなかなか発動されにくいのには、不当廉売の認定基準にあると思われます。不当廉売は、基本的には価格要因と影響要因の両方を満たす必要があります。価格要因でいえば、原価に満たない価格のことで、公正取引委員会は、実行予算上の工事原価(直接工事費+共通仮設費+原価管理費)を下回るかが一つの基準になるとしています。
 そうであれば不当廉売に該当する事例は多々存在すると思われるかもしれませんが、もう一つの要件である影響要因がなかなか難しいものを内蔵しています。
 そもそも独禁法は、安値自体がけしからんのではなく、安値を武器に同業他社を倒産に追い込み、そのあとで自社だけが生き残り、独占的な利益を上げようとする企てを阻止しようとしているのです。
 当初の安値では消費者も利益を得ているようにみえますが、トータルでは不利益を被るおそれの強い不当廉売を独禁法では禁止しているのです。

 そうしますと、単に安売り、赤字受注だからといって、直ちに不当廉売と認定することはできない仕組みになっていることが理解されたと思われます。しかし、ある業者の安値が同業者の経営を圧迫させているという認定は、現実として相当難しいことは、いうまでもないところです。

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