建築家の責任 / 日経BP

 8月19日に掲載した本シリーズのタイトルは「つくり手の責任:既存不適格に不法行為責任が及ぶ?」であった。法律家でもない保険屋が法律について意見を述べる際には、「?」付きでの問題提起にならざるを得ない。これに対して、日経アーキテクチュア9月10日号の「『将来の危険も瑕疵』の波紋」というタイトルの記事で、早速、弁護士の見解を掲載してくれた。大森文彦弁護士は、「不法行為の対象はあくまで『行為』であって『状態』ではない」として、今回の最高裁判所による判断を既存不適格建築物に適用するのは、誤解であると明快に解いている。

 しかし、筆者の懸念が杞憂(きゆう)で終わればよいと願うばかりだ。既存不適格というのは、「建築家」と称する建築界のプロ中のプロが、場合によっては、ある建物が甚だしく危険な水準であることを知っているのに、建て主や世の中に伝えていない状況を意味している。社会は、このような状況を本当に許してくれるのだろうか?1980年代からPL保険(生産物賠償責任保険)の引き受けを通して過酷な賠償事情に触れてきた。そんな心配性の保険屋としては、余分なことを考えてしまう。

 現在の耐震基準を満たしていない建物が現実にたくさん建っていることは、建築界では常識となっているようだ。本来であれば、耐震診断を実施して、必要であれば耐震改修を実施すべきであることも承知している。しかし、「いつ起こるとも知れない」地震対策のために、巨額の費用を建て主に負担させることができないと考え、耐震化を進言できないでいる。建築家を信じて、構造的に問題ないと思い込んでいる建て主さえ、いるかもしれない。「いつ起こるとも知れない」からこそ、備えが必要だと筆者は発想する。「だから保険です」などと短絡的な営業を展開するつもりはない。保険は万一の備えに過ぎない。建物は壊れない方が良いし、けが人はないに越したことはない。

 仮に首都圏直下型の大地震が発生して、多数の死傷者が発生したら、世の中は既存不適格の問題をどのように受け止めるだろうか。既存不適格は、法で許されているので仕方がないとあきらめてくれるであろうか。

私自身が遺族になったら許せない

 既存不適格の建物が倒壊して、私自身が遺族になったら、建物所有者はもちろん、設計者や施工者も許せないだろう。なぜ、耐震対策を事前にしてくれなかったのかと責めるであろう。そのような遺族に対して、建築界はどのような答えを用意しているのであろうか。

 既存不適格による甚だしく危険な状態を看過する「行為」こそ、国家資格者として責任を問われる行為なのではないか?つまり、建築設計者や施工者が既存不適格建築物を放置する「行為」こそ、「不法行為」に当たると考えている。

 適法であることは当たり前の話で、法治国家においては絶対必要条件のはずだ。適法であることと、安全性が確保されているかどうかというのは、次元が異なる問題であることは、原発の事故で証明されている。福島第一原子力発電所は、適法に設置され・運転されていたのだ。法律上の解釈も大切であるが、建築物の「安全・安心」を現実問題として確保すること。それが本当のプロとして「建築家」に求められる責任のはずである。

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