役に立たないバリアフリー住宅(3) / 日経BP

日経ホームビルダー9月号では高齢者の自立を支える住宅の在り方を特集にした。その抜粋を3回シリーズで伝える。第3回は高齢者の自立を支える住宅を普及するための課題だ。


 介護保険による住宅改修(介護保険改修)は、身体機能が衰えた高齢者の在宅生活を支える補助金制度だ。同制度に関して本誌読者に今年2月、アンケートを実施した結果が下のグラフだ。

 介護保険改修の年間受注件数はゼロ件が最も多く、1~2件が3割だ。これは同じ設問のアンケートを2004年に実施した結果と変わらない傾向だ。1件当たりの平均工事費は、04年より20万円から39万円以下が増えて、40万円以上が減っている。

 厚生労働省が発表する介護保険改修の件数を見ると、09年はいくらか増えたが、1件当たりの費用は変わっていない。国立保険医療科学院統括研究官の鈴木晃さんは「高齢者の住宅改修ニーズはもっとあるが、それを拾い切れていない」と見る。

(資料:日経ホームビルダー)
(資料:日経ホームビルダー)

 

 

 

半数弱がケアマネージャーに不満

 制度に対する不満で目立っていたのは、介護保険改修を行う際に連絡を取り合うケアマネジャーに対するものだ。回答者の半数弱が不満を抱いた経験があり、「利用者が自社を指定しても工事を回さない」と訴える読者も2割いた。

 はたがや介護相談ステーション(東京都渋谷区)でケアマネジャーを務める石垣昭さんは、利用者から指定がなければ同じ会社に工事を頼む。依頼先は「住まいの改善ネットワーク」だ。バリアフリー改修の勉強会を長年一緒にやってきた信頼できる仲間で、介護保険の理由書の作成も頼めるからだ。

 石垣さんの知り合いのケアマネジャーには、福祉用具のレンタル販売と住宅改修の両方を手掛けるチェーン店に工事を頼む人が増えているという。「理由書を作成してくれるし、改修と福祉用具の申請手続きも同時に済むからだ。制度改正で書類を一式そろえて事前申請する手続きに変わり、申請に必要な理由書の作成費用も一部しか助成されなくなった。それ以降チェーン店を重宝する傾向が顕著になった」と石垣さんは話す。

 読者アンケートでは介護保険改修に対し、「工事金額が少ない割に申請手続きに手間がかかる」と答える回答者が7割に上った。それでも、取り組むことに価値を見出す住宅会社はいる。

 大貫建築(仙台市)の大貫潤平さんは、「身体の不自由な状態は十人十色。健常者の家を建てた経験では提案をつくれないため、介護保険改修は勉強の場だと捉えている。ケアマネジャーには営業はしないが、仕事を頼まれたときに信頼を裏切らないことが、仕事を増やすことにつながると思う」と話す。

(資料:日経ホームビルダー)
(資料:日経ホームビルダー)

 

医療との連携で200万円

 バリアフリー改修を後押しする制度で注目したいのは、国土交通省による「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業ケア連携型バリアフリー改修体制整備部門」(ケア連携型事業)だ。バリアフリー改修に最大200万円が補助される。

 補助金を得るには、医師や作業療法士などのケア専門家と設計・施工者で組織をつくって申請する必要がある。第2回目の募集期間は8月22日~9月16日だ。

 相澤病院(松本市)はユニバーサルデザイン住宅リフォーム研究会(同)と連携して、同事業に選ばれた。病院で理学療法士として働く大塚功さんは、これまでも患者が退院する際に患者の自宅に行き、住宅改修の助言を行ってきた。「改修プランを書いて渡すこともあるが建築の知識が足りない。信頼できる建築のプロに相談したいと思うリハビリの専門家は自分だけでないだろう」と話す。

 牧田総合病院(東京都大田区)は地元のカドヤ建設と組んでケア連携型事業に選ばれた。「営業に来る会社はたくさんある。その中でカドヤ建設は地域密着で仕事をしてきて、担当者も地元の高齢者を支えたい思いを強く持っていたことが決め手になった」。医療福祉部部長の澤登久雄さんはカドヤ建設を選んだ理由をこう話す。

<事業名:高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業ケア連携型バリアフリー改修体制整備部門>

【補助金対象の主な条件】
(1)医師や看護士、理学療法士や作業療法士などのケアの専門家と設計・施工者が連携して改修に当たる
(2)工事前にケアの専門家が依頼者の身体状況などを評価して改修プランの作成に助言する
(3)施工後にケアの専門家が改修効果を評価する
(4)要介護、要支援、障害者等級の認定を受けている人の住宅

【助成金額】
対象となる工事費用の2分の1までで上限は200万円。工事の内容ごとにも上限金額がある。ケアの専門家への人件費、改修プランの作成費、制度の普及啓発費などにも補助が出る。補助金の支給期間は3年間

【2011年度第2回の公募期間】
8月22日~9月16日

トイレと寝室は至近に

 まだ健常な高齢者に対し、身体機能が衰えたときの備えを考慮した設計を提案することも建築のプロの役割だ。そのための設計基準を国交省がまとめたものが「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」になる。

  指針は寝室とトイレについて、「同一階に設ける」としている。09年の指針改正で、寝室とトイレを「近接させる」から、「同一階に設ける」と書き換えられた。鈴木さんはこの改正に不満を持っているという。「高齢者は夜中にトイレに行く回数が多く、その都度車椅子に乗ったり介助を受けたりすることは困難。自力歩行になるので、近接させることが重要なのに…」と鈴木さんは話す。

  他方、玄関と道路までの移動は、介助付き車椅子になると予測する福祉の専門家が多い。そのため、道路までの屋外は車椅子で移動しやすくしておきたい。下に、鈴木さんが健常な高齢者の住宅でも必要と考える最低条件をまとめた。

 <健常な高齢者の住宅に必要な最低条件>

 ●寝室から直接出入りできる専用トイレを設ける
●玄関から前面道路までは、簡単な改修で車椅子による移動ができるようにしておく
●玄関の近くに8畳程度の居間を設け、プライバシーを配慮した場所に最低6畳、できれば8畳以上の寝室を確保する
●寝室が上階にある場合は、安全な手すりを備えた勾配の緩い階段とする
●間口が広く使いやすい収納空間を、寝室と居間に確保する

 

(資料:高齢者が住み続けられる住宅の考え方に関する調査結果、鈴木晃)
(資料:高齢者が住み続けられる住宅の考え方に関する調査結果、鈴木晃)

 

 

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