新築住宅の省エネ義務化、その前に! / 日経BP

野田佳彦首相は所信表明演説で、省エネルギーの最先端モデルを世界に発信すると打ち出した。建築分野では、新築住宅への省エネ基準義務化が議論されるのは必至だ。こうした政策に懸念を示す専門家がいる。高断熱・高気密を推進してきた住宅技術評論家の南雄三氏だ。氏は、現状のままの義務化には「反対」とまで言う。氏の真意を連載で詳しく説明してもらう。(ケンプラッツ編集部)


 3.11以降、住宅の省エネ対策は姿を変えた。それまでは地球温暖化防止を掲げた省エネだったが、今は脱原子力発電のための省エネに関心が集まっている。

 脱原発では、電力ピークを乗り切ることが目標となる。主役は冷房だ。この夏は「冷房の設定温度を1℃上げよう」が国民の合言葉になった。

 温暖化防止を目的とした省エネでは、冷房は主役どころか末席に位置付けられる。温暖化防止の省エネは生活全般のエネルギーが対象になるからだ。冷房の占める割合はたったの2~3%でしかない。つまり、冷房を“節約”しても温暖化防止にはさして効果がない。

 実は温暖化防止策の大本命は、原発だった。化石燃料を使わないので、温暖化ガスの排出量が極端に少ない。その原発が今では“呪われた”存在になり、原発に代わって火力発電所がフル稼動している。温暖化を促進しているわけだ。

ゼロエネだって目指すべき

 原発は温存すべきか、段階的になくすのか…。企業や消費者、社会と個人、様々な立場から色々な意見が出されている。我々“住宅屋”としては、原発温存か脱原発かの議論よりも、住生活にかかわるエネルギー消費をゼロにすることが可能かどうかという議論の方が大切だ。可能であれば、それを目指すことが本筋となろう。

 住生活全般について、冷暖房や給湯、照明、家電、車などの省エネに努力し、再生可能エネルギーで創エネすればゼロエネやゼロカーボンが可能になる。

 自然エネルギーの不安定な点は蓄電でカバーし、HEMS(ヘムス、ホーム・エネルギー・マネジメント・システムの略)が電力の効果的な使い回しを実現。1軒の家ではなく町単位で(スマートシティ)、さらには社会レベル(スマートグリッド)で電力をコントロールする。脱原発の道は険しいが、その先にはこうしてスマートな社会が描かれているのが最近の流行である。

 我慢の“小エネ”で命を落としては…

  注目を集める省エネとは別に、そもそも日本にはもう一つ独自の省エネ文化がある。我慢による省エネだ。囲炉裏やコタツなど、建物のごく一部を温めることで寒さをしのぐ暮らし方だ。この考えが、今も日本人のライフスタイルに大きく影響している。

 我が国独自と言ったのは、冬に家の中が寒いのに我慢して暮らしているのは、先進国の中で日本ぐらいだからである。欧州も米国も家の中はどこもかしこもポッカポカだ。日本のように夜中に寒さに震えながらトイレに行ったり、冷えた脱衣室でブルブル震えながら着替えるような生活はしていない。

 「寒さを我慢して何が悪い」という意見もあるだろう。我慢を美徳と心得る日本の家族は省エネ優等生である。世帯当たりの消費エネルギー量で日本は省エネ先進国のドイツに比べてもはるかに“小さい”。なので私はこれを、「我慢の“小エネルギー”」と呼んでいる。

 しかし、注意しなければならないことがある。我慢して健康を損ねては元も子もないということだ。日本ではヒートショックを起こして多くの人が命を落としている。エアコンがあるのに運転しないで熱中症になるのと似ているのではないか。諸外国から「我慢して健康を損なうことは愚か」と言われてもしかたない。

寒いままの家では省エネ効果が不十分

 家全体を断熱化しても、一部の部屋しか温めないのなら、断熱化による省エネ効果はごく限られたものになってしまう。その意味で私は、我慢を美徳としたままの「省エネ基準の義務化」には反対である。「断熱化の省エネ効果は、たいしたことがない」――と誤解される恐れがあるからだ。

 欧州や米国では、断熱性がとても低い家であっても家全体をポカポカに暖め、湯水のごとくエネルギーを使ってきた。そこで彼らは省エネを義務付け、基準を順次強化していくことで、エネルギー消費をどんどん減らしていった。ものすごい量のエネルギー消費を削減するために断熱化を進める――。これが「健康のための省エネ」に取り組む順序である。

 日本で健康のための省エネ住宅を実現するには、住まい手が「我慢を美徳」とする意識を改め、「健康に暮らす」ことを求めるようにしなければならない。

 ゼロエネ住宅、スマートハウス…。日本も世界に負けじと先進省エネ技術を追いかけている。しかし、その一方で我慢の生活は続いている。その結果、我が家はスマートハウスでゼロエネ住宅!でも夜中のトイレは寒い――という、しゃれにもならない事態が起こりかねないのだ。

 日本の省エネ住宅政策は、断熱義務化の前に、まず健康を追求するところから始めるべきである。これが私の持論だ。この連載で、日本の実情に即した省エネ対策の方向性をつまびらかにしていきたい。

日本が目指すべき住宅省エネの見取り図。温暖化、脱原発、健康の3項目が目的の柱になる。それを支える技術として、高断熱・高気密、パッシブデザイン、再生可能エネルギーなどがある(資料:南雄三)
日本が目指すべき住宅省エネの見取り図。温暖化、脱原発、健康の3項目が目的の柱になる。それを支える技術として、高断熱・高気密、パッシブデザイン、再生可能エネルギーなどがある(資料:南雄三)

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