木造よりも壊れたRC造 / 日経BP

東日本大震災で津波を免れた内陸部では、屋根瓦の落下や外装材の脱落といった被害にとどまる木造家屋が多かった。しかし、そんな地域でも大きな被害が目立った建物がある。鉄筋コンクリート(RC)造の事務所ビルや庁舎だ。

 例えば、震度6強の揺れに見舞われた茨城県笠間市にある市役所笠間支所の庁舎。1階の建物外周にある柱(外柱)や開口部を設けた耐力壁などが軒並みせん断破壊した。

1階の外柱がせん断破壊した笠間市役所笠間支所の庁舎。写真はいずれも3月21日に撮影(写真:日経アーキテクチュア)

1階の外柱がせん断破壊した笠間市役所笠間支所の庁舎。写真はいずれも3月21日に撮影(写真:日経アーキテクチュア)

 

 庁舎は応急危険度判定で「危険」とされ、立ち入り禁止に。市は市役所の業務を近くの公民館に移した。

 庁舎はRC造3階建てで、1970年ごろに完成した。柱の帯筋は20cm程度の間隔でしか入っていなかった。現行の耐震基準の半分ほどの量だ。

 さらに、柱の両側にある垂れ壁や腰壁には、構造スリットを設けていなかった。その結果、柱は十分に変形できず、せん断力が集中して、ぜい性破壊しやすい「短柱」となっていた。

極短柱」がせん断破壊

柱の両側の壁に構造スリットがなく、窓の部分で「極短柱」となった柱に生じたせん断破壊(写真:日経アーキテクチュア)

柱の両側の壁に構造スリットがなく、窓の部分で「極短柱」となった柱に生じたせん断破壊(写真:日経アーキテクチュア)

 

破壊した柱の拡大。帯筋の間隔が広いことが分かる(写真:日経アーキテクチュア)

破壊した柱の拡大。帯筋の間隔が広いことが分かる(写真:日経アーキテクチュア)

 

開口部がある耐力壁も壊れた(写真:日経アーキテクチュア)

開口部がある耐力壁も壊れた(写真:日経アーキテクチュア)

 

庁舎の出入り口には、応急危険度判定で「危険」とされた紙が貼られていた(写真:日経アーキテクチュア)

庁舎の出入り口には、応急危険度判定で「危険」とされた紙が貼られていた(写真:日経アーキテクチュア)

 

1階の外柱は軒並み壊れた(写真:日経アーキテクチュア)

1階の外柱は軒並み壊れた(写真:日経アーキテクチュア)

 

典型的なせん断破壊が生じた柱(写真:日経アーキテクチュア)

典型的なせん断破壊が生じた柱(写真:日経アーキテクチュア)

 

3階部分の外壁にも亀裂が生じた(写真:日経アーキテクチュア)

3階部分の外壁にも亀裂が生じた(写真:日経アーキテクチュア
            
伝統木造は耐える

 庁舎の周辺にある木造の建物は、被害が比較的小さかった。瓦がずれたり落ちたりして屋根をブルーシートで覆った住宅などがあるものの、全半壊した建物は見当たらなかった。

高台にある庁舎の駐車場から周囲を見渡す。大きな被害を受けた家屋は見当たらない(写真:日経アーキテクチュア)

高台にある庁舎の駐車場から周囲を見渡す。大きな被害を受けた家屋は見当たらない(写真:日経アーキテクチュア)

 

道路を挟んだ庁舎の向かい側には、水平方向の外力に弱いとされる組積造の建物があった(写真右手前)。外観を見る限り、被害はなさそうだ(写真:日経アーキテクチュア)

道路を挟んだ庁舎の向かい側には、水平方向の外力に弱いとされる組積造の建物があった(写真右手前)。外観を見る限り、被害はなさそうだ(写真:日経アーキテクチュア)

 

庁舎から東に1.6kmほどの距離にある木造伝統工法でつくられた旅館。屋根瓦が落ちたものの、躯体に大きな被害はないように見える(写真:日経アーキテクチュア)

庁舎から東に1.6kmほどの距離にある木造伝統工法でつくられた旅館。屋根瓦が落ちたものの、躯体に大きな被害はないように見える(写真:日経アーキテクチュア)

 

上の旅館のすぐ近くにある木造の店舗は、外壁のモルタルが剥落した。1階に大きな開口部があり、間口方向の壁量が少ない。耐震上は不利な構造だが、倒壊には至っていない(写真:日経アーキテクチュア)

上の旅館のすぐ近くにある木造の店舗は、外壁のモルタルが剥落した。1階に大きな開口部があり、間口方向の壁量が少ない。耐震上は不利な構造だが、倒壊には至っていない(写真:日経アーキテクチュア)
            
0.3秒の卓越周期

 笠間市では、3月11日に起こった本震で南北方向に967ガル、東西方向に596ガル、上下方向に465ガルの最大加速度をそれぞれ観測した。南北方向には重力加速度とほぼ等しい強い揺れが加わったことが分かる。

笠間市で観測した加速度波形。上から順に南北方向、東西方向、上下方向の加速度を表す(資料:防災科学技術研究所)
笠間市で観測した加速度波形。上から順に南北方向、東西方向、上下方向の加速度を表す(資料:防災科学技術研究所)

 

 そんななかで、木造よりもRC造の建物に被害が目立ったのはなぜか。

 その一つの理由として、1秒未満の短周期の揺れが卓越していたことが挙げられる。笠間市に近い茨城県日立市での速度応答スペクトルを見ると、0.3秒付近に卓越周期がある。ちょうどRC造3、4階建ての建物の固有周期と一致する。

茨城県内の主な観測点のデータを基に分析した擬似速度応答スペクトル。横軸が周期(秒)で、縦軸が速度応答(cm/秒)。各周期について2次元等方性単振り子の水平面内の最大変位を擬似速度として表した。減衰定数は5%とした(資料:国土交通省国土技術政策総合研究所)
茨城県内の主な観測点のデータを基に分析した擬似速度応答スペクトル。横軸が周期(秒)で、縦軸が速度応答(cm/秒)。各周期について2次元等方性単振り子の水平面内の最大変位を擬似速度として表した。減衰定数は5%とした(資料:国土交通省国土技術政策総合研究所)

 

 81年以前の古い耐震基準でつくったRC造の建物は、帯筋の間隔が広く、柱などのせん断耐力が劣る。こうした建物は多く存在し、地震が起これは笠間市役所の庁舎と同様の被害が生じる可能性は十分にある。

 過去の地震で何度となく指摘されてきた建物の弱点が、改めて露呈した。柱を炭素繊維シートや鋼板で巻き立てたり、垂れ壁や腰壁に構造スリットを設けて短柱を解消したりといった早急な耐震補強が欠かせない。

 一方、木造の建物を倒壊に至らせる揺れの周期は1~2秒ほど。今回の地震は、95年に発生した阪神・淡路大震災などと比べて、この周期帯の成分が小さかった。その結果、木造の建物の被害は最小限に抑えられたとみられる。

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