直轄工事・委託業務に中止命令 / 建設工業新聞

東日本大震災の発生を受け、国土交通省は15日、発注済みの直轄工事や委託業務に対する一時中止命令を出すよう全国の地方整備局などに通知した。今回の地震で被災し、工事を施工できなくなっている現場がある点を考慮するとともに、被災していない企業による当面の災害応急対策を優先する。工事や業務の一時中止に伴い、必要となる予算の繰り越し手続きについては現在、関係機関と調整している。
 今回、施工できなくなった工事については、天災などで工事目的物に損害が発生した場合や工事現場の状態が変動した場合に発注者が受注者に工事の一時中止を命じなければならないという工事請負契約書の規定を適用。委託業務についても業務委託契約書の同様の規定に基づき、一時中止を命じる。当面の災害応急対策を優先して行うための工事の一時中止命令については、発注者が必要があると認める場合に工事中止命令を発令できるという工事請負契約書の規定を適用する。
 国交省は、当面の災害応急対策のためには建設機械、資機材の調達や技術者の確保などの面で建設業者の協力が不可欠であり、施工中の工事が被災していない場合でも優先度の高い緊急復旧などの調査や計画検討、工事への対応が必要と判断。復旧工事に速やかに着手できる企業が見られない場合、近隣で他の工事を施工中の企業の意向も踏まえ、被災地での災害復旧対策を優先的に行うことができるよう工事の一時中止命令を出す。
 大畠章宏国土交通相は15日の閣議後記者会見で、被災地の復旧支援に向けて建設団体などが協力を申し出ていることに言及し、「今は皆さん(建設業)が活躍できる環境を整えている」と述べ、建設業が早期に災害応急対策に関われる対応を急いでいることを明らかにした。

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