90年代の住宅の“脱法”責任問う判決 / 日経BP

 1994年、大阪府南部の町で、宅地建物取引業を営むAさんは分譲戸建て住宅を新築し、同年3月末に買い主のBさんに引き渡した。価格は土地代が1350万円、建物代が1980万円だ。

 それから約15年後の2008年12月、Bさんは住宅に瑕疵があるとして、Aさんを相手取り損害賠償を請求して大阪地方裁判所に提訴。12年4月24日、大阪地裁は売り主であるAさんに不法行為責任があるとして、瑕疵補修の費用など約1480万円をBさんに支払うよう命じる判決を出し、確定した。

確認内容とは全く別物

 Bさん宅は木造、一部鉄骨造の3階建てだ。早くも95年頃に建具の建て付けが悪くなり、98年以降は建物の内外の壁に亀裂が生じたという。

 Bさんは08年5月、欠陥住宅問題に詳しい弁護士の岩城穣さんに相談した。岩城さんら原告側弁護団は、一級建築士で胡桃設計(兵庫県伊丹市)代表の木津田秀雄さんに建物の調査を依頼した。

 木津田さんによると、建築計画概要書では、Aさんは木造2階建ての長屋で大阪府から建築確認を受けていた。確認時とは種別、構造、階数がすべて異なる建物を建てたことになる。90年代の時点で混構造3階建てを合法的に建てようとすれば建築基準法38条に基づく大臣認定を受ける必要があったが、その形跡もなかったという。また、93年度の大阪府は完了検査実施率が約35%に過ぎず、Bさん宅も完了検査を受けていなかった。法規との乖離が大きく、“脱法”建築の様相を呈していたようだ。

 木津田さんは建物の現況を鑑定書にまとめた。確認・検査の手続きだけでなく構造耐力上も建基法に適合していないと主張する内容だ。大阪地裁もその内容を大筋で認めて判決に反映させた。下に掲載した図はその一部だ。

 

(1)既存の擁壁に載っている1階東側の鉄骨梁。1階東側には柱はなく、建物の鉛直荷重が形状・構造不明の擁壁に直接掛かる危険な状態となっている    
(2)の部分。1階の鉄骨梁と、南北面にあるコンクリートブロック積みの壁の一部(右端)の状況。ブレースなどによる補強は施されていない(イラスト:笹沼真人)
                          
鉄骨造部分の構造耐力不足
 鑑定書によると、Bさん宅は中央部を残して東側と西側が沈下、「へ」の字形に折れ曲がった状態になっていた。完成後、建具の建て付けが悪くなったり壁面に亀裂が入ったりしたのは不同沈下の影響だった。 3階建ての建物のうち1階は鉄骨造になっていた。西側には鉄骨柱が2本あるが、既存擁壁に接している東側にはなく、鉄骨の梁は既存の擁壁の天端に載せられていた。梁と擁壁の接合部にはアンカーボルトなどはなかった。強度不足の疑いがあるうえ、擁壁の形状や構造もはっきりとはわからない。このような1階部分を、大阪地裁は「著しく構造耐力が不足している」と認定した。

具体的な根拠示さずに「補修可能」と認定

 Bさん側は、止まらない不同沈下に対応するために基礎形状を変更したり、既存擁壁の安全性を確認したりする必要があるとして、住宅の建て替えが必要だと主張。約3080万円の賠償を求めていた。しかし、大阪地裁は具体的な根拠は示さないまま、Bさん宅の補修は可能とし、請求額の5割弱を賠償額として認めたのにとどまった。 木津田さんは、Bさん宅で新耐震とは名ばかりのずさんな実態が明らかになったことを冷静に受け止めている。Bさん宅が出来た90年代は、接合補強金物や地盤調査に関する建基法の告示がない時代。確認・検査の民間開放前で完了検査の実施率は低く、新築住宅の施工者や販売者の瑕疵担保責任を重くした住宅品質確保促進法もまだなかった。そのため「現在と比べると違反建築がつくられやすかった。特に木造3階建ては要注意だ」(木津田さん)。

 既存の戸建て住宅の改修を手掛ける設計事務所や工務店は、建設時期が90年代なら、旧耐震の建物のように現行法規との適合を疑ってかかるほうが賢明かもしれない。

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