中古住宅 / 日経BP

「中古住宅を購入し“リノベーション”によって新しいライフスタイル価値を生む」という住宅購入の新しいスタイルを提案し、その普及を牽引してきた建築設計事務所、ブルースタジオ。設立当時からの中心メンバーである大島芳彦氏に、現場から見たユーザーの価値観の変化、中古住宅やリノベーションの魅力を聞いた。


―― 中古住宅のリノベーション事業を10年以上続けてきて、ユーザーの意識や社会環境に変化を感じますか。

大島 この仕事を始めた2000年当時、築30年を超えるようなマンションを買って、さらに全面的に改装して住むことを選ぶ人は、かなりの“物好き”と見られていました。そもそも、中古住宅に対する社会の評価が低く、金融機関がなかなか融資してくれませんでしたし、大規模なリフォームに対応する住宅ローンもありませんでした。そのために、中古のリノベーションに魅力を感じても、実際に行える人は限られていたのです。

 しかし、ここ5~10年で環境は大きく変わりました。都市銀行も中古住宅に積極的に融資するようになり、購入費用とリノベーション費用を合わせて住宅ローンを組めるケースも多くなってきました。

―― その背景は。

大島 ひとつには、住宅ストックが膨大になって、いやおうなしに社会が中古住宅を受け入れざるを得ない状況があります。もうひとつは、ユーザー自身が中古住宅を評価するようになったことです。特に、住宅の一次取得層である20代後半から30代半ばの世代の価値観は大きく変わりました。彼らは新築にこだわりませんし、中古に対する抵抗感も持っていません。

 バブルが終わった後、2000年頃から社会に出たポスト団塊ジュニア以降の世代は、それ以前の世代に比べて資産に対する考え方がずいぶん違います。転職、キャリアアップが当たり前、収入も地価も上昇するとは限らないので、35年ものローンを組んで新築住宅を買うことは、自分の生活を縛るに等しいと考える。それよりも、利便性重視で、フットワーク軽く賃貸住宅や手ごろな中古住宅を住み替えることを望む。そんな人々が増えているんです。

―― そういう人たちは、どんな住宅を選んでいるのでしょう。

大島 ブルースタジオのお客さんの場合、約8割の方が住まいの総予算を4000万円前後としています。都心部の15~20坪ぐらいの中古マンションで、購入とリノベーション合わせて3000万円台。頭金が1000万円程度あり、共働きの夫婦であれば15年ぐらいで完済可能な金額です。

 都心立地で15~20坪なら、賃貸に出しても家賃15~20万円ぐらいですから借り手がつきやすく、流動性が高い。それを好みの空間にリノベーションして10年ぐらい楽しんで住んだら、売るか貸すかして住み替える。そんな戦略をとる人が増えています。持ち家にこだわるわけでも賃貸で妥協するわけでもない、いわば“流動資産派”です。

―― 中古を選ぶのは価格が安いからでしょうか。

大島 中古住宅の最大の魅力は“選択の自由”です。

 家づくりで一番大事なことは“どこに住むか”ではないでしょうか。例えば、新築マンションはデベロッパーが用地を仕入れたところにしか建ちませんから、当然選択肢は限られます。けれども、中古ならば都内には膨大な住宅ストックがある訳ですから、ある意味、どこにでも住める。都心の好立地では、新築マンションは途方もない値段がしますが、中古なら手が届くものが見つかる可能性があります。

 新築が“買う”ものだとすれば、中古は場所選びも含め、理想の住まいを“編集する”感覚で手に入れる住宅です。住む場所、築年数、デザイン性、そこに置く家具など、あらゆる要素を自分の好みと予算に合わせて編集できる。結果として、そこには“達成感”という付加価値も生まれるでしょう。

 中古ストックが増えただけに、都心立地にこだわらない人には、郊外の築浅の大型ファミリー向けマンションに掘り出し物を見つけることもできるでしょう。そういう物件は安いこと自体が強みになるはず。中古を編集する要素は無限にあるのです。

―― これから中古住宅を買いたい人にアドバイスはありますか。

大島 設計者をもっと活用するといいと思いますね。設計者はものを売る立場でもつくる立場でもなく、住まい手の望みや夢を具体化するためのコンサルタントのような職業です。不動産会社に行く前に、まず住まいのプロである設計者に相談して物件選びをすれば、中古も安心して買えると思います。

―― 今回の震災の影響をどのように見ていますか。

大島 まだはっきりとはわかりませんが、不動産の価値基準が変わることは確かでしょうね。新築か中古かということよりも、地形や地歴などの立地条件、建物形状、集合住宅では管理やコミュニティーの質なども、“編集”の基準として重視されるようになるでしょう。

 ただ、中古住宅をテーマに仕事をしてきた立場からいえば、震災以前から変化の兆しはありました。大規模開発などのプロモーションに惑わされない、自分らしい「身の丈サイズ」の住まい選び。小さくとも、値上がりを期待せずとも、長期的に安定した資産価値が維持できるものを求める動きがあった。今回の震災は、その流れを加速させるでしょう。

 人口減少の時代で、不動産の需要そのものは下がり続けています。これからは、新しいものをつくり続けることよりも、今あるものをどう流通させるかが課題です。また、家を手に入れたあとは、それをどう住みこなすか、維持していくか、ということを多くの人が考えるようになるでしょう。これまで不動産会社は一時的な手数料で商売をし、施工者や設計者はつくることばかりを考えてきましたが、これからはどちらにも、長期的な視点を持ったサービスが求められるでしょう。

 今、私たちは業界の有志とともに今回の震災被災者のため、ふつうは賃貸住宅として使わない空間、たとえば一般家庭の間貸しやホテルや管理人室などを仮住まいとして供出していただくためのプラットフォームづくり「仮り住まいの輪」を立ち上げました。社会資産としての既存空間が、災害時に限らず有効活用されて行くためには、建築・不動産・金融をはじめ、建物に関わる業界がお互いの垣根を越えて、もっと緊密に連携していく必要があるでしょうね。

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