公共発注の責任 / 日経BP

 公共発注機関による入札方式は、会計法の縛りから、次の3つに限られている。
1.一般競争入札
2.指名競争入札
3.随意契約

 税金を大切に使うということに異論はない。しかし、金を惜しんで、後から維持管理に大金が必要になったのでは、まったく意味がない。例えば、新築時に安普請で済ませたため、雨漏り補修費がかさんで、「建て替える」などということになったら元も子もない。ましてや、1600億円もの建設費を使った上で、1000億円もの補修費を要するといわれる東京都庁舎など言語道断である。都庁は例外中の例外であろうが、「価格競争」のみに陥りがちな入札制度には大いなる疑問がある。

 発注機関が「官」である事業には、別の問題もある。例えば、2008年6月15日付のスポニチ大阪版に掲載された事件は、漫才のネタになりそうな、ばかげた話だ。事業対象は建築物ではない。市内の道路脇2万1000m2を除草する作業である。

 発注者の兵庫県赤穂市は、指名競争入札を実施した。これに応じたある地元建設会社の社長は、350万円で入札するつもりでいた。ところが、社員が勘違いをして「万」の単位を落としてしまい、350円で落札してしまった。市は、「どのような落札価格でも、市の対応は変わらない」として、そのまま建設会社に仕事を発注した。

 市は、指名競争入札にあたって最低制限価格を設けていなかった。世の中には進んで「ゼロ円入札」をする企業もあるぐらいだから、仕方ないと片付けるのは簡単だ。しかし、単位を付け忘れたとしてニュースになったということは、納得づくではなく、泣く泣く引き受けたというのが真相であろう。市も「申し訳ないが、規定に基づいて対応してもらわざるを得ない」とコメントしていた。

 この規定というのが要注意だ。新聞記事には、「落札後に契約しなければ、6カ月から1年半の指名停止処分となる」ことが触れられていた。真相は、弱みに付け込んで、タダ同然の金額で、仕事を請け負わせたということのようである。

契約しなければ、指名停止処分

  これで果たして市政を預かる職員が、誠実に職務をこなしたことになるのであろうか。どう見ても「理不尽」で納得いかない決着である。入札額が明らかな誤記であったことは、新聞報道の行間でも読み取れる。ルールだからと言って「指名停止」をちらつかせながら諾否を尋ねる前に、それを修正させるという救済措置は取れなかったのであろうか。

 350万円に相当する作業をした上で、無報酬に近いということは、単に350万円の損害にとどまらない。この作業のために経費を掛けるのはもちろん、もし仮にこの作業をせずにほかの仕事を受注していれば報酬を得られたのである。結果、この建設会社は二重に損をしたともいえる。ただでさえ経済情勢の悪い中で、地元で納税義務を負っている企業の足を、市当局が引っ張ったような出来事である。

 金額を誤った建設会社はそれをどうやって穴埋めして、企業を守るのだろうか。その費用を他の民間の仕事に上乗せして、まったく関係のない人たちから取り戻す以外に打つ手がないかもしれない。理不尽の連鎖が起きる。実は、建設会社が積極的に「ゼロ円入札」をしたときにも同様の事態が想定できる。

 いずれにしても公共発注機関が潤ったツケを、民間で穴埋めする理不尽は、どんなことがあっても止めなければならない。そして、安かろう悪かろうの例が示す通り、安上がりである必要性があるのは、むしろ建築物の維持・管理のための費用である。

 公共建築物の「安全・安心」を確保する上でも、当初の建築費が安ければ安いほど良いという発想の入札制度は改めるべきである。維持・管理など、運営段階の費用も評価する工夫が必要である。「安かろう・悪かろう」で税金の無駄遣いをしてはならない。

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