容積飛ばしで老朽化マンションを救う / 日経BP

政府が9月10日に閣議決定した「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」で、老朽化したマンションの建て替えを促進するための容積率緩和が盛り込まれた。6月18日に閣議決定した「規制・制度改革に係る対処方針」の決定事項を、財源を使わない景気対策として前倒ししたものだ。国土交通省が2010年度中に検討・結論・措置を講ずるとしている。

 国交省によると、2009年12月時点でマンションのストック戸数は約562万戸で、約1400万人が居住している。そのうち、1981年以前の、いわゆる新耐震基準を満たさないストック戸数は約106万戸に上る。

 09年10月時点で建て替えが完了したマンションは138件にすぎない。これらは主に容積率に余裕があったマンションだ。余っている容積を使って床面積を増やし、新たにつくった住戸を販売することで建て替え費用を捻出(ねんしゅつ)した。住民の自己負担を減らすことができたので、比較的スムーズに事業が進められた。

 事業化が困難なのは、容積率の上限いっぱいで建てられたマンションだ。建て替え時に増床できず、余剰住戸の販売収入が見込めない。また、建設後に法改正があり、現行の容積率や日影規制などの制限を満たせない既存不適格マンションも問題だ。従前より規模が小さくなる恐れがあり、増床どころか減床になる可能性もある。

 確かに、容積率の規制は老朽化マンションの再生を阻んでいるようだ。容積率を緩和しようとする政策は妥当に思える。しかし、今後も建て替えるたびに容積率を緩和し続けるわけにはいくまい。床面積を増やす以外に、建て替え事業を促進させる方策はないのだろうか。

床を増やさず建て替え

 敷地に余裕がない以上、容積率を緩和されたマンションは高層化せざるを得ない。商業系の用途地域ならまだしも、住居系地域では周辺の住宅と比べて著しく高さの異なる高層マンションがニョキニョキ建つことになる。

 住宅地で高層マンションに建て替えようとすると、近隣住民は快く思わないだろう。容積率緩和の優遇を受けられない戸建て住民にとっても不公平だ。

 これまでも、特定の要件を満たせば建物の容積率を緩和する総合設計制度などを巡り、建築紛争がいくつも起こっている。そうした経緯もあり、東京都は9月1日、地域のまちづくりと調和させるために総合設計制度を改正した。公開空地の面積や形状による評価を減らしたり、隣地境界からの後退距離を増やしたりするなどして、建築紛争を防ぐ。

 老朽化マンションの建て替えに伴う建築紛争の増加は避けたい。ならば、いっそのこと増床分を売買してはどうか。容積率緩和で増えたボーナス床を実際にはつくらず、他の敷地に容積移転する。その際に得た売却益を建て替え事業に充当する。排出量取引みたいなものだ。

 容積移転を可能とする制度はいくつかある。ただ、特定街区制度などで可能な隣接敷地・隣接街区への容積移転だと、土地の高度利用が見込めない住居系地域では容積の売却が進みにくい。

 そこで、特例容積率適用地区制度に期待したい。隣接敷地以外の“飛び地”でも容積移転を可能とする制度だ。特例容積率適用地区制度の適用事例には、東京都が2002年に指定した「大手町・丸の内・有楽町地区」の約117haがある。東京駅丸の内駅舎やパレスホテルが地区内の高層ビルに未利用容積を移転、売却している。

 自治体のほぼ全域を特例容積率適用地区に指定し、住居系地域など住宅地に建つ老朽化マンションから、商業系地域など高度利用すべき地区の高層ビルに容積移転できるようにする。容積率緩和で生まれた老朽化マンションの増床分を、都市機能が集積する市街地の地権者が買い取るイメージだ。ただし制度の乱用を防ぐため、「容積移転は片道・一方向」「容積の移転先地区は限定する」「老朽化マンションの建て替え時に限る」などの指定基準を設ける必要はあると思う。

 老朽化マンションを高層化・増床せずに現状規模のまま建て替え、さらに市街地の活性化も図る――。このような提案を実現できないものか。

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