木材劣化(4) / 日経BP

築35年、築80年以上、築120年以上の住宅3棟から木材を採取し、実際に強度を調べてみた。4回シリーズの最終回は、実験結果を振り返り、住宅を長持ちさせる木材の使い方を伝える。

 老朽化した住宅に使われていた木材の強度試験の結果から、腐朽や蟻害などによる劣化の程度は木材の強度に大きく関係していることが確認できた。

  劣化によって木材の重さや密度が減少すると強度が低下する傾向は既存の研究でも示されている。下のグラフが一例だ。「特に曲げ強度は、軽微な腐朽でも大きく低下する場合がある」と筑波大学大学院生命環境科学研究科教授の土居修一さんは説明する。 

  120年以上たった部材でも健全な状態であれば、曲げ強度と圧縮強度は日本建築学会が定める基準強度を十分クリアしていることも、今回の試験で確認できた。

  試験体を提供してくれた常盤工業の中村さんは立命館大学理工学部環境システム工学科岡本享久研究室と共同で同様の試験を実施中だ。そちらの試験では、140年以上のヒノキと120年以上のマツの圧縮強度が基準強度の2倍以上を保っていたという。

  ただ、健全な古材でも注意を要する点はある。古材の強度を研究する名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の山崎真理子さんは、「引っ張り強度や衝撃曲げ強さは経年使用により低下する恐れがある。70年から250年までの古材の引っ張り強度を調べたところ、同等密度の新材に比べて無視できないほど強度が低かった」と話す。木材の化学成分の経年変化が関係しているというのが一説だ。

(資料:1986年度文部省科学研究費研究成果報告書『今村祐輔、高橋旨像:木材および木質材料の破壊過程と破面形態の研究』)
(資料:1986年度文部省科学研究費研究成果報告書『今村祐輔、高橋旨像:木材および木質材料の破壊過程と破面形態の研究』)

             

 

芯持ち材は周囲が劣化

 今回調査した3棟では、ベイツガとヒノキ、カラマツが土台と敷居に使われていた。腐朽が最もひどかったのはベイツガで、ヒノキとカラマツはそれほどでもなかった。匠建築の保坂貴司さんは、「劣化に強い樹種を適材適所で使う重要性を再認識した」と話す。

  築35年のO邸では、台所周りのスギとベイツガはどちらも劣化がひどく、圧縮強度はスギのほうが劣っていた。一方、森林総合研究所と日本農林規格(JAS)の耐久性区分では、ベイツガよりスギの耐久性能が高く評価されている。

  耐久性区分と実態が合致しなかった一つの理由として、二つの耐久性区分は心材を使った場合であるのに対し、O邸の土台では辺材が使われていたことが考えられる。「辺材ならどの樹種でも劣化しやすい。水回りなど劣化リスクの高い所には耐久性の高い樹種の心材を使う必要がある」(土居さん) 

  「芯持ち材」は心材を含んでいるので劣化に強いだろうという考えも誤解だ。外側に辺材があるので外側は劣化しやすい。そのためJASの保存処理基準には、どのような樹種の木材でも、材面から深さ1cmまで薬剤を浸透することなどが定められている。

  品質が安定しているとはいえ、保存処理木材の薬剤使用には消極的な人も少なくない。その場合は、点検しやすいつくりにして、定期点検することが重要になる。さらに木構造建築研究所田原の田原賢さんは、「水回りはどのような木材でも、劣化した場合に備えて最初から強度を8割に低減して構造設計する」という。

  ちなみに今回の部材で腐朽が著しかったのは、含水率が23%以上だったO邸の台所と浴室周りの土台だ。「木材の含水率は温湿度によって変動するが、繊維飽和点である27~28%以下なら腐朽は起こらない。安全を見て20%以下を保つのが望ましい」と京都大学大学院農学研究科准教授の藤井さんは話す。

(資料:日経ホームビルダーの誌面から)
(資料:日経ホームビルダーの誌面から)

 

(資料:日経ホームビルダーの誌面から)
(資料:日経ホームビルダーの誌面から)

   

健全な部分を生かす

 検証できなかったテーマで気になるのは、接合部周辺の部材が劣化した場合の構造全体への影響だ。
 接合部の劣化などを研究している京都大学生存圏研究所助教の森拓郎さんは、「まだ試験の途中だが、材料の強度がそれほど低下していなくても、劣化している部分が接合部に重なると構造体の強度は大きく下がる恐れがある。部材が劣化すると剛性が低下するので、応力の配分が変わってくる可能性もある。その傾向を踏まえた補強方法の開発が課題だ」と話す。

  試験結果から、一部が劣化した部材でも健全な部分が残っていれば意外に残存強度は高いこともわかった。
 部材を切断して新材を継ぐ補強方法だと、材自体の大幅な強度低下は避けられない。それよりも、劣化した部分の周囲だけかき取って健全な既存部分を残したほうが、強度は残り工費もかからない場合があるのではないか。

 日経ホームビルダーの2月号ではそうした補強方法の実践例と、筑波大学大学院生命環境科学研究科教授の土居修一さんに聞いた木材腐朽のメカニズムを紹介する。 

(資料:日経ホームビルダーの誌面から)
(資料:日経ホームビルダーの誌面から)

 

●今回の試験でわかったこと
(1)健全な古材の曲げと圧縮強度は基準強度を上回る
(2)劣化の程度は強度に大きく影響する。劣化の程度が少なければ、基準値並みの曲げ強度や圧縮強度、クギの引き抜き耐力を残している場合がある
(3)木材の劣化診断では、目視やドライバーなどの突き刺しのほか、打診や触診、重さの比較も有効だ 

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