住宅版エコポイント「内窓はお得」は本当か? / 日経アーキテクチュア

2009年度第2次補正予算が1月28日に成立し、住宅版エコポイント制度の創設が正式に決まった。事業運営を手がける団体の公募結果も2月4日に発表された。基金を設置・管理する法人には環境パートナーシップ会議が、エコポイント事業を推進する事務局には環境対応住宅普及推進コンソーシアムが選ばれた。3月上旬の申請受付開始を目指すという。(詳細は、住宅版エコポイント関連記事を参照)

 住宅版エコポイントがスタートすることで需要拡大が見込まれるのが、窓の断熱リフォームだ。サッシメーカー各社は、「窓が省エネにつながることを消費者にアピールできる千載一遇のチャンス」と意気込む。消費者に直接、商品を訴求できる好機ととらえ、ホームページなどを使って住宅版エコポイント制度の仕組みや対象製品を大々的に告知。中でも「後付けの内窓」については「手軽に工事ができる」ことを強調するなど、消費者の取り込みに余念がない。

 これまでになかった「BtoC」の新しい流通形態でアプローチする動きも活発になっている。YKKAPとビックカメラが「省エネ内窓の普及促進に関する基本協定」を締結したのを皮切りに、トステム製の内窓を使って家電量販店大手のエディオンが二重窓リフォームを展開することを発表するなど、サッシメーカーと家電量販店の連携が相次いだ。工務店や建設会社、住宅メーカーを介して消費者の手に商品が渡っていた、従来の「BtoBtoC」の流通形態とは一線を画するものだ。家電量販店で消費者が直接、サッシを選ぶ時代の到来を予感させる。

 ただ、こうした新しい取り組みには懸念材料もある。住宅版エコポイント制度の仕組みと相まって、内窓ばかりに消費者の関心が集中してしまわないか、ということだ。懸念の最大の理由は、エコポイントの還元率だ。内窓の還元率は、他の対象工事と比べて極端に高いのである。その「お得感」「お値打ち感」がひとり歩きしてしまうことで、消費者に安易な選択を促してしまうことにならないかと危惧している。

内窓のポイント還元率は新築エコ住宅の約10倍!

 住宅版エコポイント制度に定められたエコ住宅を新築した場合の発行ポイントは、一律で30万ポイントだ。3000万円を掛けて住宅を建設した場合、その還元率は1%にしかならない。1500万円で建てた場合でも2%だ。これに対して、10窓の内窓を取り付けた場合の材工込みの費用は65万~95万円(板硝子協会、(社)日本サッシ協会、プラスチックサッシ工業会、全国複層硝子工業会が共同で発行した「窓の省エネ・リフォーム」パンフレットを基にした参考工事価格)。発行ポイントは窓の大きさによっても違ってくるが、10窓で7万~18万ポイントになる。還元率は10%を超え、20%に達するケースもある。サッシを交換するケースや外壁を断熱リフォームする工事でも、エコ住宅を新築する場合に比べれば還元率は高くなるが、内窓ほどの還元率にはならない。家電のエコポイントの還元率が5~10%であることを考えると、住宅版エコポイントの還元率にはかなり大きな開きがあることが分かる。

 むろん、「内窓に人気が集中することはなんら問題ない」「一人でもエコ改修をする客が増えるのだから構わない」「取り付けないよりも取り付けたほうが、確実に省エネになるのだからいいじゃないか!」という見方もあるだろう。「せっかく盛り上がってきた断熱リフォームのブームに水を差すようなことを言うな!」とのおしかりを受けるかもしれない。だが、何かボタンの掛け違いがあるような気がするのだ。住宅版エコポイント制度では本来、還元率が高いという「お得感」ではなく、省エネに確実につながる「お得感」を消費者に実感してもらうことが大事なのではないかと思うのである。

 住宅版エコポイント制度の立ち位置が、温暖化防止を目的にしたものであるならば、省エネを確実に推進していくためにも、ランニングコストの低減を含めて、できるだけ性能の高いサッシを取り付けるようなインセンティブを与えるべきだったのではないか。事務手続きが煩雑になることを嫌ったのは分かるが、サッシの大きさだけでなく、性能に合わせて、発行ポイントをもう少しきめ細かく設定した方がよかった。せめて、これからの制度運用時に、サッシの性能と住宅全体の省エネ効果を消費者に対して明確に数値で示すなど、商品を選ぶための基本情報を的確に提供してほしいと考えている。

 内窓を取り付けるだけでも確かにそれなりの省エネにはなるだろう。だが、付与されたポイントに見合った省エネ効果は期待できないのではないか。景気浮揚のための緊急対策として設けられた制度とはいえ、やはり費用対効果は高い方が良い。エコ改修を一過性の流行に終わらせることなく、良好なストックを形成するための手法として定着させるためにも、効果=還元率ではなく、効果=省エネとして、消費者にその効果を実感してもらえるようにしなければならないと考えている。

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