廃棄物処理法改正 2010 / ECO JAPAN

昨日に引き続き、5月12日に成立した廃棄物処理法の改正について解説する。今回は特に、実務に直接影響がありそうな内容をまとめる。

排出場所外の保管に届け出義務

 まず、排出事業者が自社で廃棄物を処理する際は、帳簿の作成が求められることになりそうだ。法改正ではなく、政省令で規定されると見込まれる。どのような方法や規模の処理が対象になるのかについても、政省令で定められる。記載すべき帳簿の内容にも注目したい。

 排出事業者が、排出場所から廃棄物を移動させて保管する場合に、一定の規模を超えると、事前の届け出が必要になる。届け出の対象になる条件は政省令で規定されるが、保管場所の面積が条件になる可能性が高そうである。

 この規定は、建設系廃棄物を規制することが主な目的だが、政省令が規定する条件によっては、メンテナンス現場からの廃棄物を自社保管場所へ持ち帰る場合や、自社工場間の廃棄物の移動も対象になる可能性がある。

今回の改正の最大のテーマは建設系産業廃棄物対策
   
    

届け出ていないと「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」の対象になる。これまで保管基準違反には直罰(命令などを経ずに適用される罰則)がなかったことを考えると、この改正の重要性がわかる(法第12条第3項、第29条第1項第1号)。

 処理後の廃棄物の保管についても、政省令で保管期間や保管量の上限が設定される見込みだ。処理業者だけでなく排出事業者が自社の構内で処理したものについても適用されるので、保管基準違反にならないように、具体的な規定がどうなるかに注意すべきである

産業廃棄物は都道府県境を越えて広域的に運搬、処理委託されることが多い。その際、廃棄物を積み込む地点と荷おろしする地点の都道府県の産業廃棄物収集運搬業許可を受けている収集運搬業者に委託する必要がある。ところが廃棄物処理法施行令では47都道府県と同じ権限を62の市(政令市という)に持たせている。結果として、国内のすべての地域で収集運搬業を営む場合は、合計で109の自治体から産業廃棄物収集運搬業許可を受けていなければならない。

 この規制はあまりに過剰であるとの批判が多い。このため、産業廃棄物収集運搬業に限っては事実上47都道府県の許可で済むように規制が緩和されそうだ。なお、今回の法改正案にはこの規定は盛り込まれていないが今後、施行令第27 条の改正によって対応されるだろう。

 いずれにせよ気をつけなければならないのは、この改正は「産業廃棄物」の「収集運搬業」だけに対する緩和なので、処分業や処理施設の設置許可はこれまでどおり109自治体が権限を持つことだ。現場で誤解が生じないように、廃棄物担当者は社内に丁寧に周知すべきである。一般廃棄物の収集運搬、処分業についてもこれまでどおり市町村が許可権限を持つことになる。

●2010年改正のポイント(産業廃棄物関連)
注:網掛け部分はこの記事で解説しているテーマ
出所:中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門委員会の報告書を基に著者作成
   
   
 
規制緩和では、廃棄物の輸入許可が注目である。海外の工場で発生する廃棄物の処理先に不安があるという企業は多い。しかし、廃棄物の輸入許可申請ができるのは処理施設を保有している企業だけだったため、思うように輸入できなかった。 今後は、輸入した企業が国内の処理業者に委託できるようになる。第三者である商社などが複数の企業の廃棄物を取りまとめて輸入することも可能になるため、日本企業の工場が多い東アジア諸国での資源循環を促進する効果も期待できる(法第15条の4の5、第15条の4の6)。

処理施設への定期検査始まる

 廃棄物処理施設は、ひとたび許可を受けるとそれ以降の行政からのチェックほとんどなかった。しかし法改正後は、焼却、埋立施設については、定期的(おそらく5年ごと)に検査を受けることになる(第15条の2の2)。

 排出事業者も該当施設を保有していると検査の対象になる。どのような検査になるかは不明だが、少なくとも維持管理記録の保存や技術管理者の設置など、法で求められている規定を守っているかを再確認しておくとよい。

 また、維持管理記録はインターネットなどでの公表が義務づけられるので、今後は委託している処理業者の記録をチェックできるようになる。

 産業廃棄物処理施設に関しては、「認定熱回収施設」の認定制度が始まる。一定の基準を満たした処理施設は認定熱回収施設として都道府県の認定を得られる。廃棄物による熱回収の促進が目的である(第15条の3の3)。

 この制度が普及すれば、サーマルリサイクルを行う処理業者の選定基準の一つになるだろう。現段階では注目すべき特例制度はないが、今後は税制優遇措置などが設けられる可能性もある。なお、この認定を受けなくても、処理業者が熱回収しているとうたうことはできる。

 
 
 
優良処理産業廃棄物処理施業者の評価制度も変更

 安心して処理を委託できる廃棄物処理業者を認定する「優良性評価制度」についても変更がありそうだ。電子マニフェストの導入を認定基準に追加するなどの案があるが、まだ確定はしていない。枠組みを改正したうえで、優良業者への特典として処理業許可の更新期限をこれまでの5年から7年程度に延ばすことを検討しているようだ。

 しかし、すでに認定を受けている処理業者の処遇も考慮しなければならないため、優良性の認定基準をどこまで変えるかは今後の課題になっている。改正案では、法第14条で業者の能力や実績に応じて更新期限を変更できるとしただけで、詳細は政省令の決定待ちである。

 今回は3年ぶりの法改正のためか、注目すべき改正が目白押しである。最大のテーマは建設系廃棄物対策の強化だろう。建設系廃棄物は、今後増加が見込まれるためにやむを得ないが、結果として排出事業者に対する規制が大幅に強まる。規制緩和という観点からは、長年の懸案だった産業廃棄物収集運搬業の許可制度の緩和について、不満は残るが一歩前進しそうだ。

 一方で、改正による届け出や検査の追加は行政にも負荷をかけることになるため、行政側の体制強化も急務である。今後、この分野においては、規制改革によって小さな政府を実現する方向には行かないだろう。

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