法改正のたび強化される罰則 / ECO JAPAN

廃棄物処理法の罰則は、法改正のたびに強化され、今では環境犯罪の中で最も重くなっています。特に、最近は排出事業者に対する罰則の強化が顕著です。これは、排出事業者の意識を変えることにより、不法投棄などの不適正処理を防止しようという政策によるものです。

 検挙数も多く、環境犯罪の大半を占めています。2005年度の廃棄物事犯の検挙事件数は4123件、検挙人員は5728人・527法人でした。このうち産業廃棄物の事案は797件で、一般廃棄物に比べて数は少ないのですが、大型の不法投棄事件が多く、組織犯罪の傾向があります。

 例えば、岐阜市の大規模不法投棄事件では、2005年9月までに60人、46法人が検挙されています。これに対し、2005年度の水質汚濁防止法違反は全国でわずか6件です。

 廃棄物処理法違反の取り締まりで、行政(自治体)が担当する場合と、警察の場合とではその手続きが全く異なります。行政の場合には、「18条報告」「19条立入調査」などを経て、行政指導、行政処分します。

 警察は、任意の事情徴収、逮捕・勾留、証拠品の押収、起訴などの手続きを経て、不起訴になるか、無罪・有罪などの刑が確定します。有罪になると、下の表のような罰則が課されます。

●排出事業者と廃棄物処理業者への罰則
(注)2010年の法改正で第32条の両罰規定は「3億円以下の罰金」に強化されました
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法人には1億円以下の罰金

 排出事業者に対する罰則では、無許可業者への委託、無確認輸出、不法投棄、不法焼却などが特に重く、個人に対する法定刑は「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこの併科」となっています。

 排出事業者による不法投棄や焼却禁止違反の事例は多く、大規模なものは実刑になる傾向が強いようです。これに反して、委託基準違反やマニフェスト交付・保管義務違反などで実害が発生していない場合については、罰金刑か、情状によっては不起訴になる傾向にあります。

 廃棄物処理業者に対する罰則では、無許可営業、営業許可などの不正取得、事業範囲の無許可変更、名義貸し、受託禁止違反などが、特に重くなっています。

 中でも、不正手段によって廃棄物処理業や施設の許可を受ける不正取得については、2005年改正で罰則を新設し、同時に廃棄物処理法上の最高刑が適用されています。異例の取り扱いといってよいでしょう。

 しかし、何が不正な手段に該当するかについて、明確な規定はありません。例えば、許可を得る際の照会事項に誤った回答をしただけで不正と見なされるといった過大な対応まで考えられます。

 また、マニフェスト回付義務違反、欠格要件該当届出違反・帳簿備え付け義務違反などが罰則の対象となっています。廃棄物処理業者に対する罰則は、改正により厳しくなってきていますが、環境犯罪というよりは、許可申請手続きやマニフェストの取り扱いの適正化のための罰則が増えているように思われます。

 刑としては、個人の処罰のほか、組織ぐるみである場合には法人も罰せられることがあります(両罰規定)。特に不法投棄などは、1億円以下の罰金という重い法人罰が定められています(編集部注:2010年の法改正で第32条の両罰規定は「3億円以下の罰金」に強化されました)。

 具体的には、実行犯のほか、その上司、営業担当者、経理担当者など組織的にかかわっている者が個人として懲役刑などの処罰の対象となり、さらに法人全体に罰金が課されることになります。廃棄物処理法では、過失犯はありませんので、故意がある場合にのみ刑罰の対象になります。

 刑事訴訟手続きでは、刑が確定するまでは、犯罪人とは扱われないという前提になっています。専門的には「無罪の推定が働く」と言います。

以下、三十四条まで略。1ページ表参照
   
               
  
罰則だけで犯罪は減らない

 しかし、現実には警察の捜査対象になっただけで、事業者には大きな損害が発生します。強制捜査や書類送検の段階でマスコミに報道されることが多く、これによって顧客を失い、家族や従業員に動揺を与えます。従って、企業としては、順法性に多少グレーな部分があっても裁判で争えばよい、などという甘い解釈に頼らず、廃棄物処理法を順守することが必要です。

 ただし、刑事罰を適用する場合の廃棄物処理法の解釈は、行政の解釈とは異なるケースがあります。廃棄物行政では、適正処理を推進するため、予防的観点からより厳しい立場で指導するのが一般的です。しかし、刑事裁判では、事後的な観点から、刑罰に値する違法性が実質的にあるかどうかが焦点になるからです。

 現実にどのような刑罰を受けるかについては、悪質さや継続性、その他の情状によってかなり異なります。岐阜市の大規模不法投棄事件では、実行者の善商に罰金1億円(岐阜地裁判決)、実質的な経営者に懲役3年8月の実刑と罰金1000万円(名古屋高裁)が言い渡されています。

 廃棄物処理法違反の多くは、経済犯罪です。本来負担すべき適正処理費用を惜しんで不法投棄や不適正処理することにより、利益を上げているものです。いくら罰則を重くしても、不法投棄がもうかるという仕組みがある以上、組織的犯罪を無くすことは難しいでしょう。

 罰則の強化だけではなく、生産・消費のライフサイクルを通じて、不適正処理が防止できるような社会制度の構築が必要です。

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