震災の影響深刻 / 建設通信新聞

 全国中小企業団体中央会が20日にまとめた3月末の中小企業景況調査によると、東日本大震災によって建設業を含む全業種の景況DI(好転から悪化を引いた値)は前月比16.9ポイント低下のマイナス55.1と大幅に低下した。建設業の景況DIも7.7ポイント低下し、マイナス52.7となった。建設業の景況DIは、製造業と非製造業を合わせた全19業種の中で9番目だが、被災地以外でも建設資材の入手が困難になり工事が進まないケースが出るなど、経営環境は震災の影響で深刻化している。
 3月末の景況調査での建設業は、「景況」「収益状況」「売上高」の主要3指標がいずれも低下した。「売上高」は7.5ポイント低下のマイナス40.8となった。「収益状況」は6.8ポイント低下し、マイナス53.1になった。
 建設業の「資金繰り」も悪化して、5.3ポイント低下のマイナス40.8となった。マイナス30台から再びマイナス40台に落ち込み、非製造業7業種の中で建設業の指数は3番目に低い。
 各地の建設業からは、震災の影響が全国に及んでいることが報告されている。被災地からは「震災の影響で公共工事が全面ストップし、通常工事が皆無。人員を確保したままでいつ再開できるのかも分からない。災害復旧も重機を保有している企業に集中。建設資材不足で民間工事があっても作業を再開できない」(青森県・一般土木建築業)、「震災によって復旧工事が一斉に始まった。しかし、不況によって各社は重機などを処分し、従業員も減らしていたことから、緊急対応が思うようにいかない状況が続いている」(茨城県・総合建設)との声が寄せられている。
 被災地以外では「震災に伴う水道工事の問い合わせが殺到。被災地に出向くも放射性物質の汚染が心配される地域での工事は、補償がどうなるか決まっていないため懸案事項になっている」(東京都・管工事)、「震災の影響で建設資材の入手が困難。資材価格が高騰し、受注も難しくなりつつある」(岐阜県・建築板金)、「資材などが未入荷や遅延状態で工事が進まない。節電などで経済全体が再沈下しないよう国は早急で思い切った復興対策を」(岡山県・内装業)などの報告があった。
 中小企業全体の景況は、「景況など8指標すべてが前月と比べ低下した。特に景況、売上高、設備操業度はマイナス15ポイント以上の大幅低下となり、収益状況や資金繰りも低下幅がマイナス10ポイントを超えている」(中央会)。
 また、「前月まで一進一退で推移していた景況は急速に悪化した。燃料不足や資材・部品の調達難、電力不足による生産減、買い控えによる売上げ減、資金繰りの悪化など、東日本大震災の影響が深刻で、先行き不安が増大している」と分析している。

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