地盤改良費は土地売り主が負担するべきか? / 日経BP

 「宅地」として売られている土地が、実際にはどのような地盤性状なのか。多くの場合、購入後に地盤調査をしてみるまでよくわからない。軟弱地盤であることが判明すれば地盤改良工事などが必要になる。ただし、この費用は一般的に建て主負担になる。そんな“土地取引の慣習”がひっくり返った判決があった。「地盤改良費用は土地の売り主が負担すべき」とした高裁判決だ。今年1月20日に名古屋高等裁判所が下し、その後確定した。この判決は今後、住宅業界にどんな影響をおよぼすのか。ケンプラッツ読者の意見を聞かせて欲しい。(池谷和浩=フリーライター)


 この裁判は、注文住宅を建築するために愛知県のニュータウンの一角を購入したユーザーが、売り主である県住宅供給公社を提訴した事案だ。請求額は252万円で、ユーザーが土地購入後に木造2階建て住宅を建築した際、地盤改良のために支払った工事費だ。

  問題となった宅地は切り土・盛り土で造成されており、着工前のスウェーデン式サウンディング調査で、盛り土部分のかなりの範囲に軟弱層が確認された。建築を請け負った住宅会社は地盤改良が必要だと判断し、ユーザーは湿式柱状改良工法を選択した。その後、住宅が完成したユーザーは公社を訴えた。軟弱な地盤であることを知らされずに土地を買わされ、地盤改良を強いられた、というのだ。

  一審でユーザーは「売り主には軟弱地盤について説明義務、瑕疵担保責任があった」と主張。それに対し公社は「販売時のパンフレットには『造成地のため地盤調査後、地盤改良が必要になる場合があります』と記している」と反論した。一審は公社の主張を採用して請求を退けた。

  だが二審は一審判断を取り消し、ユーザーに軍配を挙げた。「買い主が本件記載(パンフレットの注意事項)を読み聞かされたか、あるいは本件記載に気づかなかったかどうかは必ずしも重要な事情ではない。というのは、本件記載の内容があいまいだからである」(二審判決文より)というのだ。

高裁と地裁での両者の主張(取材を基に日経ホームビルダーが作成)
高裁と地裁での両者の主張(取材を基に日経ホームビルダーが作成)

 

どこが「あいまい」だったのか

  売り主(公社)が「説明があいまい」とされた理由は、以下のようなものだ。

 ・パンフレットの記載、それに基づく説明はあいまいで、地盤改良の必要性が高いことをうかがわせる具体的な記載ではない

・契約上、地盤調査・地盤改良の義務付け、買い主側の瑕疵担保請求権の放棄、改良工事費分の宅地価格の減額などをしていない

・売り主は地方住宅供給公社であり、民間から厚い信頼を獲得していた

  

 一方で二審判決は、以下の論理で宅地に軟弱地盤があることを「地盤改良を要するという瑕疵」だと認定した。 ・問題の宅地には軟弱地盤が相当程度の厚さと広さで存在し、そのまま建物を建築すれば不同沈下が発生する可能性は高い

・改良工事費は土地価格の11%に達し、決して安くない

・宅地価格が地盤改良費を勘案して減額された形跡はない

  

 問題の土地には上記のような瑕疵が存在した。さらに「説明があいまい」だったので、この問題は買い主が契約前に知り得ない「隠れた瑕疵」となっていた。だから説明義務違反を論ずる以前に、公社には改良費を負担する責任がある。--これが二審判決の結論だ。公社は上告を断念、判決は確定した。改良工事費用の全額および、裁判費用の全額が公社の負担となった。

  宅地売買の現場で売り主が周辺相場や立地、敷地形状や規制、接道以外に、値付けの理由について買い主に合理的に説明することはほとんどないが、この二審判決はそうした不透明さにも警鐘を鳴らしたと言えるのではないか。

  日経ホームビルダー2010年11月号「住宅事件簿」では、この裁判で敗訴し上告を断念した公社のコメント、建築紛争に詳しい弁護士の解説なども掲載している。

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