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とび・土工、鉄筋、型枠大工の躯体3職種に左官を加えた4業種の専門建設工事業団体は、社会保険未加入対策促進に必要な標準見積書作成と実際の契約への浸透を目的に、統一行動することを決めた。社会保険加入のための経費計上の根拠や考え方などについて、契約相手方のゼネコンと全国各地の専門工事業者に理解を求めるため、合理的な統一的見解を早急に示す必要があると判断した。専門工事業界は、先行して今後まとめる「4業種統一的見解」をもとに各建設業種団体が作成した標準見積書を改定、国土交通省だけでなく元請団体とも連携し、保険未加入促進を進める方針だ。

                    
 22日の専門建設工事業4業種の統一行動へ向けた初会合には、日本建設躯体工事業団体連合会(日躯体)の才賀清二郎会長、全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)の内山聖会長のほか、日本鳶工業連合会(日鳶連)、日本建設大工工事業協会(日建大協)、日本左官業組合連合会(日左連)関東ブロック会が参加。各団体の現状の取り組みと課題、さらに作成した標準見積書の経費計上の考え方について議論した。

                   
 初会合で焦点となったのは、▽会社運営のために必要な一般管理費の率と計上内容▽消費税を人件費や現場経費、一般管理費、法定福利費(事業主負担分)など項目ごとに切り分けた時に、どの段階で計上するか--の2点。
 また、事業主負担の保険の内容でも、雇用保険、健康保険、厚生年金、介護保険に加え、一部団体は児童手当拠出金を計上項目にしていないため、統一に向けて調整することを確認した。

                   
 これまで専門建設工事業がゼネコンと交わす契約は、歩掛かりと数量や単価などを一式として一括りで表示した契約書だったり、施工の1㎡当たり価格を重視する契約がほとんど。そのため、保険未加入対策促進に必要な新たな見積書では、これまでの契約内容を詳細な項目ごとに切り分け、さらに元請けがその内容を納得できるよう分かりやすくする必要がある。ただ職種によっては、細かく切り分けた項目を再度、従来の1㎡当たりの価格に置き換えた方が、元請け・下請け双方にとって契約交渉をしやすい実態がある。22日の会合で、1㎡当たりに再度置き換える計算方法について、他団体からは「もっと分かりやすくすべき」との意見も出た。

                 
 日躯体の才賀会長は、「今後、未加入対策に取り組んだ企業が受注できず、何もしない(未加入対策に取り組まない)企業が受注することをなくすようゼネコンに要請しなければならない」と強調した。

               
 全鉄筋の内山会長も「未加入対策は一斉に進める必要がある」と同調。今後、4職種団体は共同歩調で、元請けが合理性があると判断し納得する標準見積書にすることや、未加入対策を一斉に進めることを確認した。

               
 社会保険未加入対策促進は、国交省や厚生労働省、元請団体、専門建設工事業団体が連携し、昨年11月からスタート。既に国交省は元請け向けに、下請けの保険加入促進などを指導するためのガイドラインを策定した。専門建設工事業界は各団体で、社会保険加入促進に向け見積書を浸透させるための標準見積書の作成を進めていた。

             
 ただ、元請けからは「各専門建設工事業団体の標準見積書はばらつきがあり、見積書の判断がしにくい」「一人親方など社会保険適用除外の技能労働者の法定福利費は必要ない」「支払った法定福利費が保険加入に結び付いているか確認が必要」などの課題に対して指摘がある。

         
 今回、専門建設工事業4職種の団体が共同歩調で統一見解をまとめることを決めたのは、各種団体がこれから全国各地で展開する標準見積書に対して、元請けが抱えているさまざまな懸念を払拭すると同時に、専門建設工事業界内にも標準見積書に対する理解を促進する狙いがある。3月に予定している次回会合には、国交省にも出席を要請する。

             

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