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住宅金融支援機構は、住宅ローンのフラット35の技術基準となる木造住宅工事仕様書の改訂を進めている。改訂後の2012年版の仕様書は同年10月1日に発売される予定だ。

 改訂で技術基準のレベルは変更しないが、仕様の記載の増減がある。大きく変わるのは発行形態。従来の発行元は、前身である住宅金融公庫の仕様書の時代から住宅金融普及協会だった。12年版からは出版社の井上書院(東京都文京区)からの発行となり、一般書籍として流通する。

 同機構は日経ホームビルダーの取材に対し、7月下旬時点での改訂に関する検討内容を明らかにした。

座金の仕様を記載

                          
 アンカーボルトなどに用いる座金とホールダウン専用アンカーボルトに関して、耐力ごとの仕様が加わる(下の表)。同機構CS推進部住宅技術情報室技術支援グループの嘉藤鋭さんは、前者の座金の寸法を仕様として加えた理由を「適正な大きさのアンカーボルトを使用しても座金が小さすぎると、建築基準法レベルの引っ張り耐力を満たさない恐れがあるからだ」と説明する。

 ホールダウン専用アンカーボルトの定着長さ(埋め込み長さ)については、これまで360mm以上とだけ記していた。今回の改訂で、柱脚部の短期許容耐力に対応して360mmと510mmの2種類とする。

 

逆に記述を絞り込んで簡略化するのが、給排水や電気・ガス関係などの設備工事の仕様だ。個々の施工者任せでも差し支えないと考えられる仕様は、「特記による」とだけ記すようにする。

 その一方で、設備工事は特記による場合でも設計図書に基づいて行うように求める記述を加える。戸建て住宅の設備工事は、専門工事会社が配置図などを作成せずに行い、結果として構造部材を傷付けてしまうこともある。「設備工事は本来、もっと計画的に行うべきものという考え方を浸透させたい」と嘉藤さんは語る。 

 このほか、従来版では「120mm以上とし、150mmを標準とする」としていた基礎の立ち上がりの幅を150mmに統一する。  

読みやすさの向上を目指す

                           
 初めて一般書籍として流通することから、読みやすさの向上を狙いとする改訂箇所も多い。 

 例えば、フラット35Sの対象住宅に必要な省エネ基準である住宅品質確保促進法に基づく省エネルギー対策等級4の仕様。従来は特別な仕様と位置付けられ、フラット35の対象住宅に必要な等級2の仕様を参照しながら読むようになっていた。しかし、近年は「35より35Sのほうが利用件数は多い」(嘉藤さん)のに加え、等級4と同等の次世代省エネ基準(1999年基準)が、長期優良住宅の普及や住宅エコポイントの影響で以前よりも普及している。 

 住宅金融支援機構はこうした動きに対応して、今回の改訂で等級4の仕様を、等級2の仕様を参照しなくても読めるように掲載して、標準仕様的な位置付けとする。

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