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国土交通省が社会保険未加入対策の一環で11月から順次運用する法定福利費の内訳を示した標準見積書に対して、一部の職種団体から独占禁止法のカルテルを懸念する声が上がっている。今後、会員向け講習会や元請けと交渉する際に、公正取引委員会からカルテルと判断されないための対応に明確な見解を見い出せないためだ。国交省は現時点では「見解を述べる段階にない」としながらも、「仮にそのような不安が高まれば適正に指導していく」と話している。

                  
 独禁法では、企業(事業者)間での価格や生産数量の協定を禁じている。

                      
 一部の職種団体から上がる懸念に対しては、「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」によると、価格カルテルに該当しないとの見方が強い。その理由は、11月から順次運用する標準見積書が工事総価の計算方法を決めるものではなく、総価の一部となる法定福利費の計算の考え方を示すものであり、その上、法定福利費の根拠となる労務費や労務単価は各企業が実績を踏まえて設定するもので、結果的に法定福利費は企業ごとに異なるからだ。

                        
 一方、標準見積書を作成し、その後に開く会員向け講習会で説明する場合、カルテルと判断されかねないような説明になって、会員企業が間違った対応に陥りかねないという懸念が高まっている。さらに、元請けと請負額を交渉する場合、公取委から独禁法の価格カルテルと判断されないための対応に関して、国交省と公取委が意見交換しているかは不透明な状況にある。例えば価格協定はないとしても、団体側が標準歩掛りを設定して採用を促すような記述や説明に対して、公取委側の明確な見解を得るのが難しいためだ。

                      
 国交省は「運用が始まっていない時点で見解を述べる段階にない」としながらも、「仮にそのような不安の声が高まるようであれば、各団体に対して企業の実績を踏まえて労務費や労務単価を適正に設定するよう指導していく」と話している。

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