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国土交通省は、建設工事での新たな下請代金債権保全策の検討に乗りだす。産学官でつくる「新たな下請代金債権保全策検討委員会」を近く発足させ、金融機関が元請の倒産時などの下請への支払いを保証する「支払いボンド」や、元請が工事請負代金債権を銀行などに信託し、倒産時などに下請への支払いに充てる「信託方式」などについて本格的な協議に入る。新たな下請代金保全策の検討は、前原誠司国交相が3月に発表した入札契約制度改善策のうちの下請企業対策の一つ。元請が倒産しても下請へのしわ寄せが生じないよう海外の下請保護策を参考に新たな保全策を検討するとしていた。
 国交省は検討委の準備会を今月3日に開き、検討対象とする新たな下請代金保全策として、▽建設途中の不動産を競売して優先弁済する米国のメカニクスリーエン方式▽元請倒産時に損保会社が自己資金から補てんする米国の信託方式▽下請への支払い資金を信託銀行に分離・保全する支払いボンド方式(米国、フランス、韓国)▽発注者が下請に支払う直接払い方式(フランス、韓国)-の四つを提示。準備会では、このうちメカニクスリーエンは公共工事で採用例がなく、直接支払い方式も行政コストの増大が懸念されるとして、支払いボンドと信託の二つの方式を中心に検討を進める方向が固まった。
 支払いボンドは、元請による下請代金の不払い・支払い遅延が生じた場合に備え、金融機関が下請への支払いを保証する保証証書(支払いボンド)を元請があらかじめ発注者に提出する仕組み。検討会ではボンドの引受先となる国内金融機関の資金対応能力を調べる一方、金融機関の支払いリスクの一部を公的機関が分担する仕組み(再保険など)や付保割合(保険料割合)などを検討する。
 信託方式については、元請が請負代金債権を銀行に信託して元請倒産時に銀行が下請に代金を支払う信託銀行活用型と、08年の信託法改正で認められた自己信託活用型の代金保全スキームの検討を進める。自己信託活用型は企業(元請)が下請への支払い用に信託財産を分離して自己管理する仕組みで、倒産時にも信託財産を下請への支払いに充てられる。保全対象とする債権の範囲や自己信託活用型の有効活用策などを検討する。

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